あたしは運悪くバイト先の人の番号は必要ないと思っていたのであえて登録していなかった。
「聞いとけば良かったー…」
あたしはあのあと、側にあるひとけのない公園らしき所にきた。
「どうしようかな…」
あたしはそこにあるブランコに座った。
―キィ…キィ…
ブランコをこぐ度に空しい音が鳴る。
どこだか分からない場所で夜に1人。
「なんでこうなっちゃうんだろ…」
なんか悲しくなってきた。
あたしはいつもこう。
良いところまで来たのにそこからは失敗ばっかり続く。
香菜がせっかくあたし達の事考えてくれたのに、ろくに話もしないで離ればなれになっちゃうし…。
bearでもそう。
一馬さんにせっかく出会えて応援してもらったのに、弟には全然相手にされないし。
一番の支えになる彼氏とも、もう2ヶ月以上会ってない。
メールだけ。
「疲れたなぁ…」
気付くとあたしの目には涙が溜まっていた。
あたしも泣き虫になったなぁ…。
「こんな所で何してるんすか」
ブランコに座って俯いているとすぐ上から声がした。
「高峰さん…」
顔を上げるとそこには汗だくの高峰智がいた。
「なん…で…」
あたしの溜まっていた涙が一気に溢れだした。
「しかも泣いてるし」
「だって…っ」
あたしの涙腺はとうとう壊れたみたいだった。
涙が止まらない。
―女はすぐに泣く
またそう言われるかもしれないのに止まらなかった。
プラス、あたしの頭もおかしくなったみたい。
この男を、高峰智を見て…
安心してる…。
あたしが泣き止むまで高峰智はずっとそばにいてくれた。
ねぇ、あれは本当だった?
あたし、馬鹿だから期待しちゃうよ?