レインボー:3

前原 琉  2010-01-30投稿
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教室から出ていこうとする彼にあわてて着いていく私。振り返ると麻衣ちゃんが『頑張れ』ってガッツポーズをしつつ口パクで言ってくれた。
怖い反面やっぱり探しに来てくれた嬉しさもあって足取りはさっきよりも軽かった。

彼は無言でどんどん進む。私はある程度離されないように着いていく

『あっあのっわかばや…』

と言った所で振り返った。ここはあまり人通りがない階段の踊場。ひんやりしているけど冬だから少し寒い。

『ケータイ!』

怒ったように手を差し出す。私は怖ず怖ずとケータイを渡し、彼は私のケータイをピコピコやりだした。

これが噂の恋人のメールチェック!?…でも私普段メールしないからチェックしても…

『ほら…』

確認し終わったのかケータイが手元に帰って来た。

『連絡先入れといたから…』
『えっ…』

慌てて確認する…あれ…??

『待って…わ行で入ってないよ…??』

既に歩き始めている彼を呼び止めて話しかけたら怒られた。

『は!?俺の名前は!?』
『わ…若林君…』
『ちげーよ!下の名前!!』

そう言われて『トオル』で検索

『あっ…あった!』
『当たり前だ!阿呆かお前!』

シュンとする私に溜め息を吐く彼。そして片手で頭をかいて

『それと12月24日絶対バイト入れんなよ!友達との約束もダメだかんな!』

そう人差し指で私を指し、歩いて行ってしまった。

残された私はびっくりして目をぱちくり。そして彼の言葉を思い出す。24日…デートに誘ってくれたのかな??

なんだか胸が暖かくなりケータイを胸でぎゅっとにぎりしめて少しの間、余韻に浸っていた。


夜…寝る間際…ケータイをじっと見る。普段メールをしない私の新着履歴はやはり0件。

メールだけでも送った方がいいのかな…でも怒られたら…

考えは堂々巡りで結局いつの間にか寝てしまい朝になって慌てて学校へ向かうのだった。



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