寒い北国に、可愛い子狐が産声をあげました。
お父さん狐は、子供と妻の為に、吹雪の晩に狩に行きました。
何時まで経っても、お父さん狐は帰りません。
お母さん狐は、優しく子供狐に伝えます。
「坊や、一人でこの穴から出てはいけませんよ。頑張って待っていてね。」
お母さん狐は子狐に、そう言い残すと、巣穴から出て行きました。
「お腹が空いたよぉ〜」
子狐は、泣きました。
寂しさの余り、土を舐めて…
深い深い眠りに着きました。
やがて、春が来て雪を消し去り、子狐も、外に出たいと思いました。
「あっ、お母さん〜」
子狐は、お母さん狐を目にすると、飛び付いて行きました。
周りには、たくさんの花が咲き乱れて、幸せな気分にさせてくれます。
父狐は熊に殺された事を、母狐から聞きました。
悲しく無いのよ。
母狐は言いました。
子狐は、巣穴の中で、随分前に餓死していました。
暫くして、父狐も一緒に成り、家族3匹楽しく、永遠に暮らしたそうでございます。