チャーミーは眠っている

ジュンボウ  2010-01-31投稿
閲覧数[404] 良い投票[0] 悪い投票[0]

チャーミーは眠っている。
14年前の秋だったっけ。ユルユルと首輪も抜けそうなほど、小さい躰。キャンキャンと無邪気に走り回っては、僕を振り回していた。うっかりリードを放した拍子に、すかさず逃げ出すお前。必死な形相で追いかける僕のことを、鬼ごっこよろしく愉しそうに逃げ廻った、あの寒い冬の夜が懐かしい。
お前を見失うと、ワン!と道を知らせ、僕が見つけるのを待っている。そしてあと一歩で捕まえられる、というところで、また逃げ出す狡猾さ。諦めて帰る僕を、先回りして家に上がる坂道の下で待ち構えているズル賢さ。それが、今のお前ときたら、立つのがやっとのお婆ちゃん。ロクに見えない目、ご馳走もわからない鼻、誰かが来ても気付かない耳。名前を呼んでも、ご主人様が帰って来ても、昔みたいに嬉しそうに僕に飛び付いては来ないよな。
チャーミーは眠っている。
ベッドの中で丸くなって、スヤスヤと眠っている時間が長くなったよな。だけど、いびきもしなくなったのも、歳のせいなのか?
生意気に、犬のくせに人並みに呆けると知って、呆れるやら情けないやら。
でもなあ、オムツが汚れると、僕を頼って狭い廊下をバタバタしながらやって来るのは、なんだか嬉しいんだ。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ジュンボウ 」さんの小説

もっと見る

日記の新着小説

もっと見る

[PR]
人気雑誌多数掲載
脂肪溶解クリーム


▲ページトップ