房子には、深く考える能力がなかった。
姉の結衣子が心を込めるものは、羨ましいと思う気持ちと同時に、自分も欲しくなった。
苦労をして手に入れるということは考えず、くすねとることに喜びを感じた。母親譲りのさもしい感情は、富ある者を妬み、口汚く謗ることが楽しいと感じられた。
姉が自分を避けるとみるや、これでもかといった嫌がらせを続けた。
カウンセラーの結衣子には、それが関心を示していることは理解できた。それでも、救いようがないものは仕方ないじゃないかと、諦め以外の何物でもない対応が、無視になってしまった。