「中村さん…」
まっすぐに見つめられた。
「…」
あたしはその瞳の碧から目が離せなかった。
「俺…、」
―♪〜♪〜
「「…」」
ナイスタイミング…。
あたしの携帯が急かすように電話が来たことを伝える。
「ごめんなさい…」
あたしは涙を拭いて、落ち着いてから電話に出た。
「はい」
「愛美?!」
あたしが出たとたん耳をつんざくような大声が聞こえて思わず携帯を耳から離した。
「香菜?」
「アンタ今どこにいんの?!」
「へ?近くの公園だけど…」
「分かった!すぐ行くから動かないでよ!」
そう言って電話は一方的に切れた。
「何…?」
「今ごろみんな探してるんじゃないですか?」
高峰智はあたしの隣のブランコに座った。
―キィ…キィ…
「そっか、あたし迷子なんだっけ」
高峰智はあたしの発言に目を丸くした。
「…ふ…」
あたしは自分の目を疑った。
今目の前で高峰智が、
笑ってる―…。
あの時と一緒だ。
初めて会った時と同じように笑ってる。
「俺…、」
「愛美ー!!!!!!」
またもやナイスタイミング、朝倉さん…。
高峰智が何か言い掛けた瞬間、公園の入り口から香菜が猛ダッシュで走ってきた。
ガバッ!
そして思いっきし抱きつかれた。
「香菜?」
「良かった…」
「へ?」
蚊の鳴くような声で香菜は呟いた。
「愛美、事故にでも遭っちゃったらどうしようって思ってた…無事で良かったぁ」
「香菜…」
香菜は泣きながら必死に話す。
あたしはなんていい友達を持ったんだろう。
「ごめんね…香菜…」