――4月
翼「じゃあ、全員無事進級を祝って」
全員「かんぱーいっ!!!」
9つの紙コップがぶつかる。ここは『いつもの場所』――彼ら“ザ・ブルービート”の9人が集まる使われていない立ち入り禁止の工場である。シートのかけた変な機械に囲まれたスペースに何処からか運んできたボロい机を寄せ集め、その周りを同じく工場内で拾ってきたパイプ椅子で囲んで座っていた
翼「いや〜皆よく進級できた!」
一際でかい声で笑うのはこのバンドを作った人物でもあるギターの翼だ。
明るい茶髪は短く毛先が跳ね、丸い目は笑うたびに細くなる。
拓「当たり前や!言うとくけど、危なかったんお前だけやで?!」
口悪くつっこむボーカルの拓朗。いつものように帽子を被り細い目が彼の言葉に反応した翼と睨み合う。
美「はい、もうにらめっこやめ〜!」
いつものように言い争う2人をSaxの美弥が止める。長い茶の混じった黒髪を首の後ろでまとめ長めの流れる前髪の下から鋭い目が2人を交互に睨んだ
聖「もうーお前らいい加減暴れんな!」
黒眼鏡、真っ直ぐな黒髪、細身の長身。秀才でバンドのリーダーであるTbの聖二もさっきまで見ていた譜面から顔をあげた。