髪を持たない花に
少しだけ
恋を愛情を注ごうと
そっと奥に眠る
匣(はこ)を開けた
パイプオルガンの鍵盤のように
軽くギザギザで
狂めいた葉の揺れは
ミルクを流した
花は陰を歩き
私から逃げようとする
花と私の隠連坊…
午前零時の鐘は
巻きついた鎖を
解くように
耳の奥で静かに
木霊した
持つ事を知らなかった恋恋情(こいれんじょう)
朱と緑の幕が
風で揺れる
それは穏やかに揺れる
髪を持たない花と
愛し合う
悲しい
悲しい
隠恋慕