「瀬戸の被害者は和田かぁ。これで今日からぐっすり眠れる…」
「石ちゃんにそんな権限ねーよ?」
「監督交代の噂ならあるぞ」
「クビってどういう事ですか?」
一人真に受けて不安気な瀬戸と、その背後のいるとは思わなかったベテランの清水達に和田は顔をひきつらせて笑った。
「頑張れって事だよ」 「…冗談きつくないですか?ここ」 「どこより荒れてるな」 微妙であればあるほど喜んで蹴り飛ばしてくるような仲間達だ。和田の心配は的中した。
「石川!和田はクビ覚悟らしいぞ〜」
「そうなんですか?」 ロッカーの列から石川が同僚のひやかしにも平然と現れて和田の前に立ち止まった。
「じゃ最後に僕が驕ります。瀬戸さんも一緒にどうですか?」
石川の目の奥に炎が見える。それを、嫉妬と見た自分は相当重症な事に気付いた。