ネットを間に9

V2副会長  2010-02-05投稿
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チームメイトがまわらないような古びた居酒屋を見つけて、店主に断りカウンターの壁際から並んで座った。 「好きなのどうぞ」
「ウーロン茶がいい」 「…僕も同じのを」 「生中3つ頼みます」 結局、石川がヤクザのような店主に注文した。
しばらくは3人で無言に飲み食いし、一息入れたところで石川がこちらを伺った。 「お茶頼みます?」 「いいよ。それより始めようか…」 和田はビールに眉をしかめた。 「言っていいですか?」「どうぞ?」 「瀬戸さん」
まん中に挟まれた瀬戸が、びくっとした。 「移籍してきた理由を聞かせて下さい」 「え…それは」 目が動いた方を石川も気付いたらしい。 「和田さん以外のです」「…おれも知りたいな。なんで?」 「なんでって…挨拶通りです。梶さんを尊敬し過ぎる前に離れて、もっと自分を出したいと思ったんです」
「それなら別にセッターは僕でも構わないですよね。…瀬戸さんは来たばかりで知らないでしょうが、和田さんはうちの敗戦処理係りなんですから。和田さんのトスをいくら愛しても試合では使えません」
石川が財布から1万円を取りだしテーブルへ叩きつけた。 「僕は絶対瀬戸さんに合わせて見せます。…失礼します」
石川が店を出た後、店主が瀬戸にお酌した。



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