そして、結衣子にとっても不自由になっていく過程に、千鶴子と房子が、現実に正気でなくなってきていたことがある。
人づてに、房子が、酔っぱらって、散々、世の中を呪うような醜態を方々 で晒していると聞いた。
おそらく、綺麗な飲み方ではないだろう。
房子が飲み屋から帰ってくると、異臭を放っていた。
本人は、ぐだを巻いて周囲に迷惑をかけては眠りこけ、更なる迷惑をかけては平気で帰宅するが、店も、近くにいた人間もたまったものではない。
中には、家に怒鳴り込んでくる店主もいて、結衣子は、見に覚えのない恥じに対して頭を下げた。
房子は、若年性アルツハイマ―が始まっていた。