僕と美咲との間の沈黙にさして、学校長の話が始まった。
彼女はまるで何もなかったかのように、顔を前方に向けている。
僕は俯いたまま、手をくんで黙りこくっていた。
この状態が閉会式まで続き、閉会式が終わると彼女はそそくさと帰っていった。
僕は彼女の後を追い掛けた。校門に繋がる木立に挟まれた直線の砂利道で僕は彼女を見つけ、呼び止めた。
「あ、あのさ…え、えっと…。」
僕は彼女を呼び止めたは良いが、その理由は全く考えていなかった。
「なに?」
美咲はこちらを向かずに、早足を止めずに答えた。
「ごめん特に呼び止める理由はなかったんだ。」
「あらそう?私は貴方ともっとお話したかったんだけど。」
「そうは見えないけど…まあいいや。そうだこれから少し駅の近くの喫茶店で食事でもしないかい?」
「どうしようかしら。」
「もちろん僕が奢るよ。僕は受験を終えてから、アルバイトを始めたからお金はあるしね。」
「あら悪いわね。じゃあ行こうかしら。」
僕と美咲は駅近くの西洋風の喫茶店に入り、入って右手の奥の席へ座った。