「麻由さん、今日は、ずいぶんと機嫌良さそうだね。何かいいことあったの?笑顔だし」
「え? ああまあ、そうですね。あっそうだ、りおさん、東京土産ですけど…」
「ありがとう。東京どうだった?」
「ほとんど、研修なんで、自由時間なかったですけど、この前、知り合ったお客さんとデートしました」
「ああ、すごく冷静だって言ってた人ね」
「はい」
りおと麻由は、今の店では中堅だが、2人とも雰囲気的に、特定の客は着かない事が多い。
それでも、勤務態度で、店側から評価されていた。
「…そうだ、りおさんは、例のお客さんからメールくるの?今回で2度目って言ってた」
「うん、来るよ。なんか不思議な、お客さんかな。丁寧な言葉遣いだし、そういえば、この前も、ずっと気お使われてたような…」
「そうなんだ。優しい人なんですね」
「うん。『自分はもてないし、こういう、お店も好きだけど、それが自分のキャラなんで、りおさんが、在籍している限り、伺います』ってゆう丁寧な感じのね」
「変わってますね。でも、りおさん定期的に来る人って、前にいましたよね?確か」
「うん。でも、『もう来ないから』って言ってたし、実際音信不通だし、しょうがないんじゃないかな」
「そうですね。でも私は、その人にひかれるものが、あったんだと思います。他の人にはない…」
「そうなんだ。応援するよ」
「ありがとうございます。」
りおと麻由は、だいたい出勤前は、お決まりのカフェで、話をしてから行くことにしている。
2人とも、家庭の事情や、将来的なことで、彼氏がいないのだが、そんな話をするのも久しぶりであり、初めてに近かった。
そして、2人が話していることが、哲彦と義人であることも…
しかしながら、そのカフェが、哲彦にメールを送っている女性が働いていることを、4人は知る由もなかった。
神のいたずらとゆうべきか、哲彦は狭い範囲で、知り合った女性に翻弄されるのだが…