春の雪

橋本ゆかり  2010-02-08投稿
閲覧数[323] 良い投票[0] 悪い投票[0]


この雪の向こう側に
あいつがいるんじゃないか、と
また俺の名前を呼ぶんじゃないか、と
俺はまだこの白い世界を捜しまわらずにはいられないんだ


春のすべてが俺に微笑みかけたとしても
お前がいないなら
長い長い冬を選ぶよ
あの日から時を動かさないで


数えてみれば
ケンカの数より抱きしめた数が
涙の数より手をつないだ数が
多かったはずなのに
それを越してしまうくらい涙が止まらない


どんなに人混みに紛れても
見つけられたはずなのに
そこにいないのならどうしようもない
どんなに目を凝らしても


もう一度会えるのなら
ずっと離さないのに―\r


この春に雪を降らせたのは
誰だろうか
立ち止まらずにはいられない
上を向かずにはいられない
ぼやけて見えない世界の中に
俺はまた捜してしまうんだ


あいつを―…



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 橋本ゆかり 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ