ザックは顔をひきつらせながら、小さく頷いた。
そして瞬く間に一週間が過ぎた。
ザックはブラウンと共に畑を耕して畝を作り、そこに種を蒔いて定期的に水をやっていた。
「君のお陰で畝作りが早く終わったよ。いつもは私一人でやっているから時間が掛かってね」
土の上に広げた大きな紙の上に座って、二人は一服してお茶を飲んでいた。
「ありがとうございます。そう言って頂けると嬉しいですね」
ザックは照れ笑いを浮かべて、頭を掻いた。
「君の所の畑は大丈夫なのかい?」
「今は姉夫婦が使っていますから。大丈夫だと思いますよ」
「姉夫婦?ご両親は使っていないのかね?」
ブラウンは怪訝そうな表情で、ザックを見た。
「両親は一年前に他界しました」
ザックは少し寂しそうな顔で、言った。
「…そうだったのか…。悪い事を聞いたね」
「いえ、いいんですよ。こっちも前に同じような質問をしましたから」
「ふむ…」
ブラウンは小さく頷いて、お茶を一口飲んだ。
「一つ聞いていいかな?」
「何でしょうか?」
「君は肉親が殺されたら、どうするかね?」
「…は?」
ザックは訳がわからない、といった表情で、小さく首を捻った。
「ああ、いや、いいんだ。さっきの質問は忘れてくれ」
ブラウンは我に返ると、慌てて手を振った。
「はあ…」
「さあてと、そろそろ昼食かな」
作り笑いを浮かべながらブラウンは急いで立ち上がると、小走りで家に入って行った。
「…何なんだ?」
ザックは怪訝そうな表情で、何度も首を傾げた。