球技大会から3日後、優勝した翔人のクラスでは大活躍だった刹那はさらに女子からの人気が上がっていた「あれだけ話題になればきっと桐原くんはバスケ部に入るわよ。」
と、女子のあいだでは刹那がバスケ部に入るだろうと噂がたっていた。もちろん翔人や亮介も同じ気持ちだった。
「あいつが入れば蓮城先輩とのコンビでインサイドはカンペキや。」
亮介もたしかに刹那の実力を認めていた。翔人は亮介に頼まれて、刹那に声をかける。
「桐原くん。ちょっといいかな?」
「うん。別にいいよ。」
そう言って、翔人と刹那は川原へと場所を移した。
移動してすぐ、翔人は口を開く。
「単刀直入に言うけど、桐原くんにバスケ部に入ってほしい。」
少しだけ沈黙が流れ、翔人はさらに続ける。
「桐原くんの実力があればチームはさらに高みをめざせるんだ。だから頼む。」翔人は丁寧に刹那に頼みこんだ。刹那はそれを見て、口を開いた。
「悪いけど、僕はバスケをするつもりはない。」
そう言うと、さらに続けた「はっきり言うよ。僕はバスケが嫌いだ。」
刹那のその言葉は翔人の心を深く貫いた。
刹那はそう言い残すと、翔人の隣を静かに過ぎて行った。