いつもの場所で26

YOSI  2010-02-11投稿
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6月になり、哲彦は再び九州に行くことになった。
土日を利用しての、1泊2日だが行くことになったのだ。
それを義人に報告がてら電話した。
「おい、大丈夫なのかよ。9月に向けて、今は旅費をためている時期じゃないのかよ」
「それはそれで、ためてるよ。まあ、普段遊びもあまりしないし、なんとか余裕があるんでね」
「それは…向こうが、『早く会いたいよ』とでも、言ってきたからか?」
「それもある。…まあ、この前東京に会いに来てくれた礼も兼ねてな」
「そりゃあ…はまってるな。ある意味…。でも羨ましい限りだよ。それくらいの積極性は大事だよなあ」
「だろ?お前もそれくらいの根性が必要なんじゃないの?お互い、いい歳なんだからよ」
「そりゃ、そうしたいけどな。俺もサービス業とゆうか、接客業をやってる限り、そう簡単に連休は取れんよ。まあ、この前よりは、連絡は取り合ってるけどな」
義人は、哲彦のように融通のきく仕事でもないので、哲彦の立場がうらやましくもあった。
「ところで、1泊2日だろ?さすがに行動範囲は限られるよな?」
「そりゃあな。おおっぴらには出来ないよ。」
「なんか…この先、こんなペースが続きそうだな。例のカフェの子には連絡取るのかよ?」
「それは…今回は取らないよ。そう…歩き回っていられないよ」
「残念だなぁ。そっちの方も進展すれば、いろんな可能性があるのにな」
「うーん…」
哲彦は、態度を濁した。
確かに、りおや麻由は、家庭の事情や学校のこともあり、友達以上の進展は、厳しいものがある。
だが、彼女は違っていた。
いずれ、関東の方でも住んでみたい考えを、メールで示していたからだ。
そして、彼女がメールの内容に、必ず義人がどうしているかの一文を入れてくるので、その理由を聞くことも 、なんとなく迷いがあったからである。
「とりあえず、行ってくるから」
「わかったよ。まあ、9月にその分、行動範囲を広げないとな」
「そうだな…」
ひとしきり会話を終えた哲彦は、少しモヤモヤしたまま、旅行当日をむかえた

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