「修二!!残り30秒ちょっとだ!!攻めろぉ!!」
本山メンバーの声が重なる。
有効一個差で負けてる。
30秒しかないなら、市瀬は守りに入ってくるはずだ。でも、もう攻めるしかない。
再び組み合った。
瞬間、市瀬が背負い投げに入ろうとした。
ヤバい!!
ギリギリで踏ん張りさえぎる。
「真也ぁ!!無理に攻めるな!!守りを固めろぉ!!」
市瀬の高校、翔星高校の監督の声が響いた。
しかし、市瀬は止まらない。
攻めの姿勢を変えない。
一本で勝たなきゃ気が済まねぇのかよ。
俺もだ。
負けらんねぇ。
修二と市瀬、どちらもの攻めが激しさを増す。
今度は修二が背負い投げに入った。
が、決まらない。
お互い寝技には入らずすぐに立つ。
「始め!」
残り十数秒。
組み手争いは一瞬のものになっていた。
修二が市瀬の左襟を掴んだ瞬間、修二の右袖を掴み市瀬が一本背負いに入った。
体が宙に浮きかける。
市瀬と自分の体の間に無理矢理腕を入れ横っ飛びでかわした。
市瀬が技をかわした修二にくらいつく。
今だ!!
これが最後のチャンスだ!!
くらいついてくる市瀬の右袖を掴む。左襟を掴んでいる手を返す。市瀬の勢いに合わせ左足を右足の後ろへ。膝を曲げ、腰を下ろし、体の回転とともに左腕を市瀬の腕の間に差し込む。
そして、全力で引き上げる!!
市瀬が浮き上がった。
修二の背に乗り豪快に回る。
どうだよ市瀬。お前のに比べたら、正しい入り方じゃないし、かけ方も荒いだろ。
でもこれが俺の背負い投げだ。
バァーン!!