狂ったように泣き叫ぶ、その声を無視したのは、あたし
狂ったように泣き叫ぶ、その声を上げていたのも、あたし
だった
いつの間にこんなに強くなったんだろう
いつの間にこんなに弱くなったんだろう
心を公開しなくてもいいんだと知ったあの日から
あたしは白の入り口を封鎖した
そう、白に保つのは入り口だけでよかった
太くて固い鉄の鎖の前に立ちはだかって
あたしは平然とほほえんでる
閉ざしておけば楽
外からの干渉に一喜一憂して大パニック
そんなの面倒くさいでしょ?
だから一番手っ取り早い方法を選んだんだ
周りをよく見てみたら、誰も彼もが同じことをしてた
皆が格好つけてた
強がってた、うそぶいてた
ほら、あたしにはこんなにたくさんの仲間がいる
同じような白の入り口、頑丈な鉄の鎖
その前で美しく笑う人々
――悲鳴が聞こえてた
あたしの奥から
皆の奥から
だけど知らないフリをするんだ
涙が頬を伝っても笑い続けるんだ、大丈夫だと気丈に振る舞うんだ
――いつになったら本当のことに辿り着けるだろう
入り口の鎖はもう限界で
助けてってわめいてる
本当は誰もがうずくまってる
あたしは左胸を押さえてる
悲しい言葉がキライで
つらいなんて言いたくなくて
そうしていつまでも独りで苦しみ続けるなんて、馬鹿みたい
誰か本当のことを言いなよ
いい加減本心をさらせよ
狂ったように泣き叫ぶ、その声に気づいたのは、あたし
だった
だったらあたしからはじめてやろうじゃないか
この鎖をぶっちぎってやる
入り口を真っ青に塗り変えてやる
変革を起こすのは気づいてしまった今この時
だから青いペンキと特大のチェーンソーを持って
さあ、はじめよう
。