「マコ!帰ろう」
あたしは高校生1日目が終わって、マコのいる教室に向かった。
「うん、帰ろー!」
あたしは初日から友達ができて、好調なスタートだった。
同様にマコにも友達がたくさんできていた。
「あ、安野さーん!また明日ねー!」
…?
下駄箱を出たところで、
誰かがあたしに向かって
手を振っている。
「ねぇ、あれ美和に言ってんじゃないの?」
マコに言われて気付いた。
―藤崎くん?
よく見ると、今朝話し掛けてきた藤崎康介だった。
あたしはどうすれば良いか迷ったけど小さく手を振った。
「ねぇ、あの人誰?」
帰り道でマコが
興味津々に聞いてきた。
「誰って…隣の席の男子だよ。藤崎康介くんっていうの」
「へぇー…初めて会ったにしてはやけに親しいんだね」
マコはなぜかニヤニヤしている。
「そーゆんじゃないよ…あの人はあーゆー性格なの」
あたしはため息を
つきながら言った。
マコは「なーんだ」ってガッカリしている。
初めて会ったのに、マコが期待するようなことになるわけがない。