好きとか
嫌いとか
もう、考えたくない。
二度と。
―――――\r
『姫依〜まじゴメンってば〜』
…教室につくと、あたしを追ってきた真希がすぐにそう謝る。
思わず
〔それ何回言った?〕
と言いかける。
でも、その言葉はガンという大きな音にさえぎられた。
……教室の扉を蹴った音。
……蹴ったのは隼人…………。
朝、中村に怒られたからだろうか、
あからさまに機嫌が悪そうな顔、眉間が歪んでいる。
そんな隼人の様子を見て、凍りつく教室…
重苦しい雰囲気に包まれている。
『は、隼人…その髪はナイっしょ〜…は、はは…』
―少しでも教室の雰囲気を良くしようと(?)
真希は顔をひきつらせながらも無理に笑いながらそう言った。
あたしは「馬鹿真希。」と心の中で舌打ちをした。
「…あ゛ァ?……お前には関係ねェだろーがよっ!!!」
隼人は真希にそう言いながら…
……片手でひょいっと椅子を持ち上げ、窓に向かって投げる。
ガシャーンと硝子が砕ける音が耳にうるさい。
あたしは横目でちらりと真希を見た。
今にも泣きそうな顔、…大体真希に悪気はないのだ。
「ハッ!中学ン時ハブられてたクセに、偉そうにしゃしゃってんなよ」
隼人が真希に向かって意地悪く笑いながらそう言う。
…それを聞いた時、あたしの体が自然に動きだしてしまった………
『…るせーんだよチャラ男!あたしのダチ泣かすんじゃねーよ!!』
……気がついたら、そう叫びながら隼人の顔面にパンチをしていた。