和樹…?
あたしはあなたが
大好きでした。
あなたといてこんなに
幸せで良いのかって
いうくらい幸せでした。
ねぇ、知ってる?
あなたとの思い出は
そこら辺にいっぱい
落ちてんだよ。
3年間一緒に通った高校や、
休みの日に行った遊園地や、
水族館や、
動物園や、
待ち合わせをした駅や、
学校の帰りに寄った公園や、
テスト勉強した図書館…
あたしの部屋にも、
和樹の部屋にも…。
いっぱい落ちてるでしょ?
そこには、
和樹が告白してくれた事や、
初めて手をつないだ事や、
初めてデートした事や、
初めてキスをした事や、
初めて一つになった事や、
悔しくて泣いた時、抱きしめて"これで誰にも泣いてるところ見られないから"って言ってくれた事や、
あたしが嫌いなピーマンを"体に良いから"って無理矢理食べさせてくれた事や、
和樹が部活で怪我をした時、保健室であたしが先生の代わりに消毒してあげた事や、
勉強で分かんない所を教えてくれた事…
言いきれない程の事が
あったんだよ。
ひとつひとつの事なんか和樹はきっと忘れちゃってるね。
あたしも忘れてる事あるもん。
でもね、それを思い出すと辛い。
昔はあんなに幸せだったのに、今は辛いんだよ…?
不思議だね。
あなたはもう前に進んでいるんだよね…?
夢があるって言ってたもん。
もう進んでる。
あたしも明日から
前を向くから…
後ろなんか
振り返らないから…
今だけ…
「っ…」
泣かせてください…。
「っ…ぅ…かず…きっ…」
あたしは子供のように、
声をあげて泣いた。
道を行く人々にチラチラ見られても関係ない。
あたしは全てを吐き出すかのように泣いた。
ねぇ、知ってる?
あたし、あなたの前では泣かなかったんだよ…?
弱い女とは思われたくなくて…
でも結局こんなに
泣くのは強くないね。
弱いんだよね…。
さようなら、
大好きな人―…