裕也
「……………」
達也
「裕也?……どうかしたの?」
裕也
「えっ……いや…別に」
達也
「……?」
どうしたんだ裕也の奴……あとで聞いてみることにしよう。
そう思っていると隣に座っていた琴音が奈々さんに質問しているところだった。
琴音
「切られてるって事は……凶器は、刃物類の何か…ということですか?」
奈々
「ええ。
切り方から見ると刀だと思う」
結樹
「ということは、炎の付加能力が着いた刀って事ですか?」
奈々
「そう…でもそんな刀があるなんて聞いたことない」
裕也
「……………」
もし……あの刀が今回のことに使われたのなら、俺が何とかしないと……
柚姫
「裕也………」
裕也
「ん?…柚姫。
落ち着いたか?」
柚姫の表情は、さっきと比べてかなり落ち着いたようだ。
そういえば柚姫は、あの刀のことを知っているのだろうか?
そんな事を思っていると柚姫は、顔を近づけてきた。
柚姫
「裕也……その…さっきの井隅さんの話の刀の事なんだけど」
裕也
「………分かってる。
あとで達也たちには、話そうと思ってる」
そう小さな声で言うと奈々のほうを向いた。
奈々
「とにかく、みんな一人で行動しないために二つの班に分かれようと思う」
一真
「……なんでだよ?」
善孝
「佐賀さんを殺した奴が、まだうろついている可能性があるからだ」
奈々
「一班は、朝まで見張りを。
もう一班は、夕食と朝食をお願い。
明後日には、師匠たちが着くからそれまでの我慢だよ、みんな……」
つまり明後日になるまでは、安全じゃないわけだ。
それまでに……あの刀を何とかしないとな。
奈々
「じゃあ一班に私、南條君、緋山君、里山君、姫野。
二班に楠本姉妹、水無月さん、桐原君、裕也でいいかな?」
善孝
「二班は、少し戦力不足に感じるが……
まぁ、鷹成がいるなら大丈夫だろう」
裕也
「………当たり前だ」
そう言う裕也を僕とヒビキは見ていた。
ヒビキ
『裕也って…結構すごかったりするのかな?』
確かに……こういう場であれだけの発言が出来るんだ。
裕也って、以外とすごいのかもしれない。