ブーッ、ブーッ、ブーッ
朝、メールの着信があった。
――誰だよ、こんな休みの日の朝に。
私は内心そう毒づきながらメールボックスを見た。
《突然ですが。ここで問題ですが、私は誰でしょう。》
見たこともないアドレス。
最初は誰かがアド変をしただけだと思っていたが、それだけではないらしい。
――は?誰だよ。
《どなたですかー!?》
自分でも間抜けだと思う文章を返信する。
すると、5分後に返信が来た。
《ハルさんの元友達だよ。》
――元友達?
てっきりサイが私に意地悪をしているのかと思っていたが、違うらしい。
――サイじゃない…なら、一体誰?
《男ですか?それとも女ですか?》
試しに、こう尋ねてみる事にした。
すると…。
《男だよ。》
――絶対サイだ。他に送って来る人なんていないもん。
だが、それでも違う可能性がある。
私は適当な男の名前をあげてメールを送ってみた。
《違うよ。》
――なら、やっぱりサイだ。でも、元友達という言い方が気になる…。
《サイ?》
たった3文字だけを入力する。
《サイって誰!?》
――はぁ?
さっきとは違う反応に、内心戸惑う。
だが、これ以上は確かめようがない。
サイの本名を出してみた。
《いいですわ。Bye-bye》
――“いいですわ”なんて言う知り合いは、サイしかいない。
私は確信した。
《どうせ嘘つくならもっとマシなのつけよ。》
《うるしゃい。》
人物当てゲームは、私の勝利だった。
《ってか、忙しいのに邪魔してごめんね。》
サイからの返事に戸惑った。
《別に忙しくなんかないよ?》
《だって今日バレンタインデーじゃん?》
《チョコなら明日配るんだ。…サイに渡したいんだけど、家に行っていい?》
《いいよ。》
チョコを理由に、私はサイに会いに行く事にした。