永久に§16§

夏姫  2010-02-14投稿
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《もうすぐ駅に着くよ。》

あと2駅というところで、私はサイにメールをした。

《迎えに行こうか?》

《別に大丈夫だよ!?》

《だって寒いじゃん。》

《じゃあ…お願いします。》

サイの理由は寒いからになっていたけど、本当は早く私に会いたかったんじゃないかって思う。
だって私は電車の中にいたし、外を歩けば身体が温まるからだ。
それに日中は、騒ぐほど寒い訳ではない。

「おっす。」

私が助手席のドアを開けた瞬間に中から声がかけられる。

「はい、チョコ。」

私は車を運転しているサイにチョコを見せた。

「ちょっと待てや〜。俺今運転中だぞ。」

「だって、持ってるの怖いんだもん。」

実はチョコの他に、誕生日プレゼントもあった。
本当は3日前だが、事情が事情なので、渡せなかった。

「俺が持っていたらもっと怖いべや。」

笑いながら私にそう言うサイ。
この笑顔を見るのは、約1ヶ月ぶりだった。

「今日そんなに寒い?」

「俺の家は寒いのや。」

今は引越しの真っ最中らしく、ストーブやコタツは持って行ってしまったらしい。
部屋の中を見ると、布団が居間に敷いてあった。
…それも、毛布とコタツ布団が1枚ずつ。

――これじゃあ寒いはずだよ。

こっそりとため息をつき、私はサイが一足先に入っている布団に潜り込んだ。


……それからあとは、あっという間だった。

久しぶりに抱きしめあい、久しぶりにキスをした。

息をつく暇もないくらい、長くて深いキスだった。

お互いを抱きしめて身体を温めあった。

そしてやっぱり最後に思ったのは、この人と一生一緒にいたい、だった。


……そして、帰り際。

サイは私に‘ありがとう’って言ってくれた。

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