さかい
−坂井ななみ−
−第8562345698172508346221856452199730564897513264702731世界− とある学校のとある教室 せがわあやめ
/私は、瀬川綾女
普通に学校に通い、HR前に英語の教科書なんて開いているのが私である。何故英語の教科書を開いているのかというと、単に昨日、英語の予習をし忘れ、仕方なく今やっているというだけである。しかし、私の邪魔をしたいのか分からないが、私の顔の前で俯きながらホッカイロの端を持ち、くるくると回しているのがいた。
「何してるんだお前・・・。」
男勝りな口調の私だが、これも至って普通。
「お前って・・・。酷いです・・・。」
控え目なそいつは、今日はより一層控え目である。何かをごまかす為にホッカイロを回す。その時の顔は目が赤く、今にも泣き出しそうだった。だが、私は敢えてそれを気にしなかった。ここ最近ずっとそうだったから。
私は、他人はどうでもいいと思う人間だ。人に一々付き合うのが面倒臭い、友達を多く作って、何になる?愚痴でも言って気を晴らす為の道具何じゃないか?そう思う私である。そんな私でも、気を許す奴が1人いた。それが、目の前でホッカイロを回している坂井ななみである。幼なじみなせいか、彼女には色々な思い出がある。だが私はある記憶の断片を失っていた。それでも彼女は優しく私に接してくれた。小さく細い体、いつも敬語を使う小さな声、ドジですぐに転ぶななみ。私は、そんな彼女を放って置けなくなった。しかし、今は違った。来年度、私達は受験生で私も自分のことで手一杯だった。
「大丈夫か?」
一応私は、そうななみに尋ねた。ななみは、相変わらず俯きながらだが、小さく小鳥の囀りような声で、
「すみません。大丈夫です。」
と何故か謝罪交えに私に言った。私は、ななみの言う通り気にしなかった。
だが、私は後悔する。あの時ななみを思ってやるべきだったと。
−第59431825311075452号世界− †或る人の暗闇の世界†
私は、このななみを・・・なければならなくなった。
それが私の指命だから。