僕たちは、割り振られた班に分かれた。
一班は、すでに見張りを始めており、僕たちは夕食の時間がくるまで一旦、部屋に戻った。
もちろん全員で、だ。
裕也
「……みんな、少しいいか?」
部屋に戻ると裕也が真剣な表情でそう言ってきた。
達也
「何?裕也、どうしたの?」
裕也
「おまえたちに話さなくちゃならないことがある」
ヒビキ
『なに……話って?』
裕也は一息置いて僕たちを見て話始めた。
裕也
「奈々が言っていた刀……俺は心当たりがある」
達也&ヒビキ
『「えっ!?」』
琴音
「心当たりって………」
琴葉
「どういうこと……?」
みんなが困惑するなか、裕也は話を続けた。
裕也
「……刀の名は、獄炎。
数年前、ある者によって盗まれた」
琴音
「盗まれたって一体、誰が?」
裕也
「さぁな……誰かは、分からない」
達也
「っていうか、誰がその刀を作ったの?」
裕也は、少し言いにくそうな顔をしてこう言った。
裕也
「………うちの師匠だ」
達也&ヒビキ
「『!?』」
師匠って……彩音師匠が……?
ヒビキも……いやこの部屋いるみんなも驚いているだろう。
そう思いながら僕は、裕也を見た。
裕也
「あの刀は、炎蛇の血を使って作られていてな。
そのせいで炎の付加能力が付いたんだ。
だが師匠は、獄炎を使うことはなかった」
琴葉
「それは……どうして?」
裕也
「とても使える代物じゃなかったんだ。
師匠も使えなかったからな」
僕は、その話を聞いて驚いた。
あの師匠ですら扱えない刀があるなんて………
でもすこし引っ掛かることがあった。
僕は、裕也にその事を尋ねてみた。
達也
「裕也。
裕也は、どうしてその…獄炎のことに関して詳しいんだ?」
裕也
「俺は、弟子だった頃、一度だけ獄炎を見ているからだ」
柚姫
「……えっ?」
今まで黙っていた柚姫が裕也の言ったことに反応した。
たぶん柚姫も獄炎のことは知っているみたいだがこの事は、知らなかったみたいだ。
そして裕也も一言、こう言った。
裕也
「俺は……あの刀に恐怖を覚えた」