ブラウンとエミリーは気まずい表情で四人が出て行った扉を見つめた。
「まさかこんなに早く帰ってくるとは…」
ブラウンは髪をかきむしって、無念そうに下を向いた。
「ねえ…彼、どうなるのかしら」
エミリーは少し声を震わせて、尋ねた。
「わからん…が、最悪の場合…」
ブラウンはその先に出てくる不吉な言葉に身震いして、慌てて口を噤んだ。
「…」
重苦しい緊張感が部屋全体を覆っていた。
床に落としたザックを一瞥して、ダリルは小屋に備え付けてある剣を鞘から抜いた。
「ダリル!今斬るのはよしなさい!」
リリアと呼ばれた少女の強い声が、小屋中に響いた。
「ちっ…」
ダリルは舌打ちして、ザックを睨みながら小屋にある椅子の一つに腰を下ろした。
「彼はここに来てから何か怪しい動きをみせていたのかしら?」
リリアはエナンとダリルを見て、尋ねた。
「いえ、特には。ブラウンさんと畑仕事に勤しんでいただけでしたよ」
「え、それだけ?」
彼女は拍子抜けしたような顔で、エナンに目を向けた。
「ええ、それだけです。なあ、ダリル」
「ああ」
ダリルは小さく頷いた。
「ち、ちょっと待って。じゃあ、この人本当に何も知らずに私の家の手伝いに来たの?賞金稼ぎなのに?」
「おかしいとは思っていましたけど、彼の行動を見る限りはそうなんですよね」
エナンは苦笑して、言った。