「…」
高峰智に拉致られて喫茶店に入ったものの、少々沈黙が痛いです…。
「あの…」
あたしは勇気を振り絞って声を出した。
その声に反応した高峰智と目が合った。
「…話って…?」
すると高峰智は少しの間のあと、口を開いた。
「…中村さんさ、あの男と別れて正解でしたよ」
…は?
「何それ」
「あの男…結構前に会ったことあるんですけど、他の女といた」
何それ…
一気にあたし達の空気が変わった。
「アイツはああいうヤツなんすよ」
「……たに…にが…かんのよ」
「え?」
「あんたに何が分かんのよって言ってんの!」
「…」
しまった…
喫茶店という公共の場所で大声を出してしまった…。
他のお客がジロジロと見てくる。
視線が痛い…。
「第一、その女の人が彼女だって言い切れませんよね?人の元カレ今さら悪く言うの止めてください」
あたしは自分を落ち着かせて静かに言った。
でも正直ムカついた。
そんな事を言うためにあたしをここに連れてきたのか。
嘘だとしても別れて傷ついてるヤツに塩を擦り込むようなことしやがって…。