[プロローグ]
『変わった夢みたなぁ』
ボクの名前は遠藤 秀一。
友達からはシュウって呼ばれてる。
じゃあ…おやすみ。
…パタリ
[本編]
車のガス廃棄音、
ブゥーーー。
しばらくして、
リリリリ…リリリリ…
目覚ましの容赦ない機会音は暗闇で眠るシュウの脳にグサリと刺さる。
『なに…あぁ』
起きてすぐのシュウは目ばかりでなく頭の神経にもぼかしがかかっているため…
…
…
…にぶい。
『ダメだぁ…もう少し…』
パタリとまた寝る。
今回の物語はこんな仕方のない『眠り足りない?』状態から無残にも始まっていきます。
シュウの意識内、つまり夢の最中。
あたりの風景は明るい。光の雨が雲の切れ目からさしている。光の針はシュウの意識体を通り抜ける。
シュウの目覚め
『あいつに喰われる…逃げないと』
まずの一言目にしては穏やかではない。
シュウの目に飛び込んだ雲の上の無数の建物。例えば風車。
走り出して2〜3歩、興奮する。理由はもちろん、雲から落ちなくてよかったぁである
ひたいの雨はだらだらとやはり光に縫われていく。
『…』
シュウは力尽きた。
パタリとまた眠りにつく。
『ナレーションの私が言うのもすごく作品としては残念かもしれないのですが…
彼は死にました。
本当に…
何が言いたかったのかと言うと、心の鼓動は眠りにつくことで一度停止し…起きるとき、またリズムを刻むのです。
それについてはお分かりですか。
魂の鼓動の停止…
それが意味するものは…』
シュウはアグラをかいて目を閉じている。
どことなくから地獄の死者共がソワソワとあらわれる。
『…』
それでも、シュウの心はまるでコップいっぱいに注がれた水の表面張力のごとくに落ちついている。
魔王の使いの舌がシュウを這う。
ベットリ…
『…』
シュウは体に巻きつくローションを受け入れるしかない。
…
…
現実時間9時41分。
彼ほどの細身でも汗に蒸されて起きる。
『ああっ。』
それはもちろん
遅刻したから。
もうひとつの理由は…誰も覚えていないだろう。
シュウは一目散に学校へ行く用意を始めた。