優からの資料はここまでだった。読み終えた二人は………
「青や…じゃなく佐藤さん?本当に人を殺していない……よね?」
京都は雪野のことを“青山さん”ではなく“佐藤さん”と呼んだのは青山と不用意に言ってしまうと周囲に警戒される場合があるから二人の会話を誰が聞いているのか分からないからと、優のアパートを出てからこの店に来るまでに二人で決めたことだった。
ちなみに京都のことは宇川君と雪野は呼ぶことになっている。
京都は自分が先ほど雪野は人を殺していないと思っていたが流石に証拠があると言われると自信を無くしてきたのだろう。
「絶対にしていないよ!!大体銃なんてモデルガンしか見た事無いもん」
と、こちらは自信たっぷりで答えた。その雪野の表情から「ここまできたら後には引けないな」と、苦笑いして開き直って携帯を机の上に置いた京都はハンバーガーを一口かじる。
携帯を置いたときに雪野が何かに気づいたらしく椅子でエビぞりしている京都を机の上に呼んだ。
「ねぇ宇川君!なんかこの資料の後、何かまだあるみたい」
と、スクロール表示のところを指さす雪野。さすが優秀な雪野だ。京都みたいに名前を間違えることはなく違和感なく言いきった。
京都が携帯を見直すと確かにまだ少しだが余白があったのでスクロールしていくと……
『ここまでが警察の資料をハッキングして手に入れた情報だ』
と、優のコメントが続けてあった。この文を読んだ雪野は自分の事件と関係なく京都に「いつ優さんはこの情報をハッキングしたの?」と聞くと「俺らが着替えている間だよ」と答えながら下へどんどんスクロールしていく。
『この情報を見れば青山雪野の生徒手帳が見つかって犯人確定と思ってしまうだろう。しかし、俺はこの情報を見てひょっとしたら青山雪野は犯人じゃないかもしれないと、いう疑問いや希望を抱いた』
優はハッキングしたあとに自分なりの意見を書いてくれていたのだ。
「えっ?なになに?」
雪野は自分に味方してくれる人が現れてうれしいのか「早く!」と京都にせがんだ。