マルセルへの冷たい態度とは打って変わって…
子供人形たちへは優しい笑顔で接するエルファ・ママ。
部屋の中では子供人形たちは興味津々で辺りを見回す。
「ココガ、ミンナノ、オ部屋」と、ママが説明すると子供人形たちは…
「嬉チィ! 嬉チィ!」
「オ部屋! オ部屋!」
目を輝かせて大喜び。
広くて、とってもステキなお部屋。
私たちの夢のお城。
そして大好きなエルファ・ママ。
優しいエルファ・ママ。
豊かで楽しい生活が始まりそう。
ママ、よろしく。
さっそく食事タイムだ。
ママからナプキンを首に掛けてもらった子供人形たち。
マルセルがセッティングした子供人形用テーブルに着いた。
目の前に並ぶ料理に目を輝かせ、喉をゴクリ。
初めてのメニューは一角牛のバラ肉をトロトロに煮込んだ肉シチュー煮とアイスクリームである。
「サァ、頂キマショー」
ママの号令で子供人形たちは元気な声を出した。
「頂キ、マーッチュ!」
一斉に食べ始める子供人形たち。
凄まじい食いっぷりである。
マルセルは黙々と子供人形用の備品を整理し始めた。
あら?
箱の中に小さな哺乳瓶が紛れ込んでいる。
瓶には『ルラ用』と表記されたラベルが貼ってある。
ハァ、まさか!
マルセルはテーブルについている子供たちの数をカウントした。
1、2、3…
…4、5、6…
…18、19…あれ?
マルセルがエルファに話しかけた。
「子供が1人、足りないわ!」
「エ?」
子供人形たちを見回すエルファ。
何と席が1つ、空いているではないか?
すると…
ウィアーンッ!! ウィアーンッ!! ミャミャーッ!! ミャミャーッ!!
部屋の外から子供人形の泣き声がして来た。
エルファが外へ出てみると…
マルセルが優しそうな表情で、1体の子供人形を抱いてあやしているのが目に飛び込んだ。
「ケースの中に取り残されていたわよ」
マルセルはその子をエルファに見せた。