「でもな、お前さんは残念ながら来てはいけない所に手伝いに来てしまったんだよ」
ダリルは剣を肩に担ぎながら、ザックを威圧した。
「…どういう事ですか?」
ザックはその威圧に負けまいとして、ダリルを睨みつけた。
「この顔に見覚えは無い?」
リリアは自分の顔を指差した。
「顔…?」
ザックは怪訝そうな表情で、リリアの顔を凝視した。
「ん…?んー?」
彼は何度も首を捻りながら、記憶を掘り起こしていった。
「…駄目です。思い出せません」
「は?」
残念そうに肩を落とすザックを見て、三人は困惑したような顔をした。
「いや、賞金稼ぎなら誰でもこの顔を知っているはずだぞ?何で思い出せないんだ?」
「…仕方ないじゃないですか。僕は賞金稼ぎになってまだ一週間しか経ってないんですから」
「はあ!?」
三人は驚いて、思わず声を上げた。
「じゃあ、今回の手伝いが初仕事なの?」
「そうです」
ザックは小さく頷いた。
「…すごい…正に奇跡としか言いようが無いな」
エナンは信じられないといった顔で、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「というか、何なんですかあなた達は!?人を気絶させてこんな所に連れてきて。今日は水やりの日なんですから早くここから出して下さい!」
三人はその言葉を聞いて、お互いに顔を見合わせた。
「…一つ聞いていいか?」
「?」
「お前さん、出身はどこだ?」