自分がこんな風に、真剣になる事なんてないと思っていた。
私は、ごく普通な私立校の2年。成績は、そこそこ良いかな。
(今のところ山をはるのが上手くいってる)
とりあえず、彼氏もいる。
毎日、別に 代わり映えもなく、ましてや「頑張っちゃう〜!」なんて熱くなるなんてカッタルイ。
そうそう、名前は…
桐生 花音
(キリュウ カノン)
「花音!ねぇ、花音!ママ先に出掛けるわよ。ちゃんと鍵閉めて学校いってよ!」母親は、玄関でヒールを履きながら、いつものセリフを言い、仕事に向かった。
母親は、小さい会社の部長。世に言うキャリアウーマン。
「ん!」花音は、布団をかぶったまま 一応の返事をした。
「(だり〜。1限目なんだっけ?古文かぁ。2限目から行こう)」
花音は、そう 答えをだすとまた、眠りについた。
(ブーブー)
携帯のバイブがなる。
花音は、手探りで携帯を探し、布団にもぐったままでた。
「花音!おはよ。今日1限目どうすんの?古文だから バックレようとしてんでしょ。あんたさぁ、成績良くても、そろそろ、八代ジジイから目つけられるよぉ!聞いてんの?ねぇ!」
朝っぱらから、けたたましく喋りまくる親友?の沙希(さき)の電話をいつものように 交わした。「うん。うん。」
「どうすんの?」沙希は、追い立てるように聞いた。
「パス!」と花音。
「わかった。後でね。あーっみっちゃんおはよう!」沙希は、道であった友達に話しかけながら、電話を切った。
やっと寝れる…そう 思いながらまた目を閉じた。
「おはよ!花音。」
ダルそうに 教室に入って来た花音に沙希が声をかけた。
沙希は、花音の席に走って駆け寄ると、また、弾丸トークが始まった。
「花音、八代ジジイに上手く言っておいたからねぇ。次は、厳しいよぉ!でさぁ、花音知ってる?編入生の事!」
「編入生?」と花音は、関心がないのが分かるように荷物を鞄から出しながら聞き返した。
「うちのクラスらしいょ!」
「ふ〜ん」花音は、窓の外を眺めながら、返事をした。
「(キーンコーン、カーンコーン、キーンコーンカーンコーン)」
チャイムが鳴り響く中、教室の扉が開く。
担任が一人の女の子を連れて入って来た。
本当に連れて入って来たのだ。手をひかれ入って来た女の子を目にした瞬間 一気に静まりかえり、教室の誰もが手を止め、 その編入生から、目をそらす事が出来なかったのだ。