同じ屋根の下、

那都美  2006-08-19投稿
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中学に入学してから、もう3年が経つ。
クラス別けの紙をひとりで眺めながら、仲のいい友達の名前を探す。




「おい、間宮と一緒かよ」




後ろを振り返ると、小学校から仲のいい友達、平畑京香が笑いながら立っていた。
あたしも京ちゃんを見て言った。




「あたしもこうなるとは思ってへんかったわ」




何でも言い合える仲って最高だと思う。
悪友でありながら、親友でもある。あたしも京ちゃんもそう思ってる。
京ちゃんはあたしの頭を叩いて、 「教室行くで」 と早口で言った。
京ちゃんの言うとおり、あたしは3年1組に向かった。




「京ちゃん、今日部活あるん?」
「あらへんよ。 間宮はどないなん?」
「もちろん、あるに決まってるやん!」
「あーあー。 こいつに部活の話振らんかったらよかった」
「なんでよー」
「お前が部活の話し始めたら止まらへんやろ、この部活馬鹿」




あはは、と笑うあたしは本当に部活馬鹿だ。
中学に入って此の方、勉強も恋もせず部活一本でここまできた。
友達が恋愛話に花を咲かせている最中、あたしは目もくれず部活に専念していた。
というか、あたしは部活に恋をしているんだと思う。




「あーあ。 部活が好きやこ・・ ゆうてみたいもんやわ」
「なんやねんな。 ええやんか別に。 あんたが毛嫌いしすぎやねん」
「あの先生はあかんわ。 あの糞ばばあ」
「うちんとこかてそうやわ。 あの糞じじい」




クラス全員が揃って、担任の先生が教卓の前に立ち、いかにも深刻ムードに入った中
あたしの運命は、もう変わっていたのだと思う。

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