ダークホース(前編)

 2010-02-25投稿
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俺とケンヂは、散歩の途中に小学校の運動会を見かけた。

小学校低学年くらいであろうか、ちょうどグランド一周の徒競走が始まろうとしていた。

「かわいいなー。俺たちもあんな時期あったよなー」
俺は言った。すると、隣のケンヂがこう言った。

「なあ。次のレース、誰が最初にゴールテープを切るか…ジュース代かけないか?」

スタート地点には4人の子供たちが、すでにスタートの合図を待ち構えている。

「うーん…左端にいる一番背の高い子かな」
俺は答えた。そして反対にケンヂに尋ねる。

「じゃケンヂは誰を予想する?右隣の、一番細い子か?」

「いや」

「じゃ、その隣の一番小さい子か?」

「それも違う」

「え?まさか右端の…一番太っちょの子にかけるんじゃ?」

「いや…フフフ」
ケンヂは不敵な笑みを浮かべた。それと同時に、スタートのピストルの音が鳴った。

ケンヂの予想がまだ決まらぬうちに、レースは始まってしまったのだ。

俺はとにもかくにも、レースの行方を注視した。

(つづく)

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