「ポナミ村…」
「農家だったのか?」
「…」
ザックはその質問に、
―ワイズで聞かれた事と全く同じだな。
と思いながら、小さく頷いた。
「ん…ワイズ?」
彼はハンター認証を受けた店のオーナーの顔を思い出して、もう一度リリアの顔をまじまじと見つめた。
「…あー!あの五万ガリオンの賞金首!」
「!」
リリア、ダリル、エナンの三人はそれを聞いて表情を一変させた。
「どうやら思い出したみたいだな」
ダリルは冷たい表情で座り込んでいるザックの前に立つと、剣を彼の首筋に当てた。
ザックはその冷たい感触に、思わず肩を震わせた。
「ち、ちょっと待って下さい!あなた達が何者なのか、せめてそれだけでも教えて!」
「そんな必要はない」
ダリルが剣を振りかぶった瞬間、
「ダリル、待ちなさい!」
というリリアの声が小屋の中で響いた。
「…リリア、こいつは俺たちの顔と家を知ってしまったんだ。逃がしたら必ず国の奴らに話してしまうぞ」
ダリルはそう言って、ザックの顔を一瞥した。
「特にこういう真面目そうな奴はな」
「…」
ザックは俯いて、唇を噛んだ。
「確かに、その可能性は大いにあるだろうね」
エナンは銀縁眼鏡を光らせながら、ザックを見た。
「ただ、こういう性格の持ち主をいきなり斬るのはちょっとまずい。でしょう、リリア?」