マルセルがやって来た。
「エルファ、私は町へ出かけるから」
マルセルの言葉遣いが気に障ったのか?
傍にあったカップを投げつけた。、
カップはマルセルの額に当たって、粉々に砕け散った。
怯えるマルセル。
「無礼者ッ! 私ヲ、誰ダト思ッテルッ!? チャント、ヒザマヅイテ、敬語ヲ、使イナサイッ!」
マルセルはその場にひざまづいて頭を下げた。
「申し訳、ありません」
「ミャハハハハハーッ!
ミャブ! ミャブ!」
おしゃぶりをくわえたままのルラが笑う。
下を向いたままのマルセルは何も言わず、ジッと耐えたままである。
エルファが指示を出した。
「明日ノ夜ハ、可愛イ、子供タチノ、バースデーパーティー。美味シイ御馳走、沢山、作リナサイ」
「かしこまりました」
頭を下げたマルセル。
子供人形たちから歓声が上がった。
「ビャーチュデー、ピャーチィ! ウレチィ、ウレチィッ!」
「ピャーチィ、ピャーチィ、ウレチィッ!」
バースデーパーティーとは…
子供人形たちが屋敷へ来てから丁度、1年を迎えての祝賀である。
エルファが言った。
「明日ノ夜ハ、ミンナデ、楽シイ、パーティー、開キマショウ」
「ミャーイッ!」
上機嫌の子供人形たち。
その様子を…
部屋の外のドア越しから、怒りの眼差しで見ている1人の人間の女性。
私用の為に暫く、北の魔界へ行っていたグロリア・ハーレス…
マルセルの妹である。
人形たちの軽蔑な眼差しを背中に受けて、マルセルは暗い表情で人形部屋から出て来た。
自室に入って、安楽椅子にぐたーッと腰掛ける。
「ハァ」
思わず、ため息が出てしまった。
「姉さん」
グロリアが入って来た。
顔を上げるマルセル。
「グロリア…」