ダークホース(後編)

 2010-02-26投稿
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まず先頭を切ったのは、一番背の低い子供だった。なかなか、すばしっこそうだ。

次に隣の一番細い子供が追い上げてくる。スマートなフォーム。これは油断ならない。

すると最初のカーブを曲がったところで、本命の一番長身の子供が一気に巻き返す。速い速い!あっという間に先頭に立った。

「やった!いいぞ」
俺は思わずコブシを握り締めた。

俺が予想した長身の子供は、二位以下をぐんぐん引き離す。

思い通りの展開に、少し余裕の出来た俺は、後続の行方を追った。

二位・三位ともかなり差がつき、最下位の太った子供に至っては、トップの長身の子と倍近い差がすでに開いていた。

「勝負あったな」
そう言って俺は得意気にケンヂの方を振り返る。するとケンヂがいない。

――もう観念してジュース買いに行ったんだろ。

そう思った時だった。

最終コーナーの奥から、猛スピードで駆け抜ける大きな人影が見えた。

まさか…あの太っちょが猛追?

そう思う間もなく、その大きな人影は一気に先頭を抜き去っていく。

俺は慌てて人影を確認した。

そこには『オレオレ』と自らを指差しながら、こちらを向いて誇らしげにゴールテープを切るケンヂの姿があった。



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