「だから、何が言いたいワケ?」
「ズバリ、聞くわ。姉さん、エルファから感謝されてる?」
「何を?」
「日頃、お世話になっている事で」
「感謝、されているわよ」
ジッと、姉の目を見つめるグロリア…
鋭い感を持つグロリアには、姉の心の中は読める。
「ちゃんと正直に答えてよね? どうなの?」
「勿論、感謝されているけど?」
「あれで、感謝されているって言うの?」
「あれで…って、まさか…」
「姉さんが、エルファに命令されていたり、叩かれたりしているのを見たの」
暗い顔になるマルセル。
「恥ずかしいところを見られたわね」
「情けないわネェ。どっちが主なのォ?」
「…」
何も返答出来ないマルセル。
「人形たちが、姉さんに感謝しているワケないでしょう」
「そんな事ないわ。フツー…」
「姉さん」
マルセルの言葉を遮るように、グロリアは相手の胸元辺りにサッと自分の掌を当てた。
何も言わず、神妙な趣でマルセルを見つめるグロリア。
「!?」
マルセルは全身に衝撃が走るのを強く感じた。
頭がボーッとなり、目がクラクラとする。
「私をごまかしたってダメよ。姉さんはずっと、エルファを怖がっている事ぐらい分かるんだから」
しばらくして、マルセルは正気に戻った。
グロリアは魔術を使って姉の心を読み取ったのだ。
ゼイゼイと、マルセルの呼吸が荒くなった。
「その魔術、どこで習得したの?」
「北の魔界でブルーレッドから教わった」
「ブルーレッド…懐かしい名前ね?」
「姉さんの方は…」