「私のは、とっくの昔に廃れてしまったわ」
「本当はブルーレッドに、魔術を取り上げられたんでしょう?」
「彼が話したのね?」
「北の魔界での生活の事を、ブルーレッドが話してくれたの」
「どんな事を?」
「姉さんは大魔城で小間使いとして働いていた。
でもそれは表向き。
本当は魔術使いの師範で、数多くの弟子を持っいた。ところが、子供人形の大量虐殺事件を引き起こして師範の資格を失い、北の魔界から追放された」
「よくもまぁ、ベラベラ話したものね?」
「姉さんが気が弱くなったのは、魔術を取り上げられてしまったからだと思う」
「…」
何も反論出来ないマルセル。…
「姉さんも相当、苦労しているのよネェ」
「私に、どうしろと言うの?」
「悪い事は言わないわ。
エルファも子供人形たちもウチに置いておくのは良くない」
「手放せって言うの?」
「そう。姉さんがエルファを愛しても、人形たちの方は何とも思ってないじゃない。自分たちの贅沢三昧な生活を持続させる事しか考えてないわ。私は今、知り合いを通じてエルファに関する情報を探しているの」
「エルファに関する情報を?」
「姉さんが3年前に、人形工房で出会うまでの生い立ちを調べている」
「あの人形は5年前に、人形工房で作られたらしいけどね」
「それって、どうも違うみたいよ」
「違う?」
「あの人形、ずっと前から存在しているんだって」
2人の会話は続いた。