引きこもってから瑞希はアングラサイトをよく覗くようになった。
そこには残酷な死体の写真やスプラッター映画の画像などが大量に転がっており、隠れた入り口を見つけて入れば後は自由に見ることができた。
そして様々な猟奇画像を見て瑞希は自分をいじめた生徒に置き換えて想像していた。
気に入った画像では、自分の死に様として想像し、興奮した。
しかしそんなある日…
『ん…?』
瑞希は一枚の画像に違和感を覚えた。
『わ…わたし…?』
そこにはなんと、両手両足を切断された瑞希の画像があった。
『なっ、何よこれぇ!!』
瑞希は思わず声を上げた。そしてあわててページを閉じようとする。
しかし、ページは閉じない。さらには瑞希の画像が画面を覆い始めた。
『い、いや…なんなのよ…そうだわ…電源を…』
強制終了させようと電源ボタンを押すがまったく画面は変わらない。
『い、いや…』
そして画面からノイズ混じりの女の声が聞こえてきた。
『アタシ…シヌ…シニタイノ…モットモザンコクデ…ウツクシ…』
『やめてやめてやめて!!』
耳を塞ぎ叫ぶ瑞希。
『どうしたの瑞希!?』
突然母親の声が聞こえ、はっと驚く。
聞こえてきた声も消え、パソコンの画面も電源が消え、真っ黒になっていた。
きっと強烈な画像を見過ぎたせいで幻聴や幻覚が現れたんだ…そうに違いない。
『な、なんでもない。ホラー映画見てただけ。』
『そう…。今日、お父さんの誕生日なのよ。一緒にお料理しよう。』
面倒臭いと思ったが、一人でいるのが怖くなった瑞希は、母親と一緒に1階に降りることにした。
今日の料理はカレーらしい。
母親が野菜を痛めている。
『瑞希が作ったって聞いたらお父さん喜ぶわ。』
『そうかな』
昔は仲が悪かったのにいつのまにか母親は父親の誕生日を祝うようになっていたらしい。
なんだか嬉しいようで、少し寂しい気がした。
『あら?』
『どうしたの?』
『お肉がないの。買ってこなくちゃ…』
『カレーなのに肉買わなかったの?あきれた』
笑いながら母親をからかう。久しぶりに笑ったな…と考えていたら突然母親が瑞希の方を振り向いた。
『アラ?』
右手には肉を買いに行くための財布ではなく
『メノマエニオ…イシソウナッ…オニクガアッ…タワ』
私をさばく為の包丁が握られていた。