「いいか、坊主。潜在能力を引き出すためには集中力を一点に集める事が一番重要なんだ。」
そう言うと典三はペンで俊の額に印をつけた。
「今俺が印をつけた所に集中力を集めるように心掛けろ。」
こくりと俊は頷いて深呼吸をして眼を閉じた。
「典三さーん!書類持ってきましたよっ。」
中に俊と同じくらいの歳の女の子が入ってきた。
「いつもすまんな。」
「典三さん、あの人は?」
「お前と同じで今回引き込まれたやつだ。仲良くしろよ。坊主、俺は今から任務に行ってくる。今日の修業は終わりだ。」
「・・・分かりました。」
典三はサッと消え、この空間は俊と女の子の二人だけになった。
「・・・」
(気まずいな。何て言えばいいだろ。)
俊は対応に困る。一方女の子も困っていた。
(どうしよう。二人だけとか恥ずかしいよっ。)
しばらく沈黙が続き、ようやく俊が口を開いた。
「俺の名前は水谷俊。あなたは?」
「わ、私は菊地由香だよっ!よろしくねっ!」
「こちらこそよろしくな!」
二人は握手をした。
・ ・ ・
ここはユナのいる部屋。
「これはやばいですね。早く手を打たないと!」