その頃、エルファは部屋の中の姿見を見ていた。
自分の姿を見ているのではない。
大魔女王バルニラと、時空を越えて会話しているのだ。
エルファにとっては、母親みたいな女性とである。
鏡に映るバルニラを前に、エルファは笑顔一杯になっている。
「私モ元気ョ、オ母様」
「そう、それは良かったネェ」
優しい眼差しのバルニラに、エルファは心が和んだ。
傍にいる20体の子供人形を、エルファはバルニラに紹介した。
「見テ、オ母様。私ノ自慢ノ、国デハ一番、優秀ナ、子供タチヨ」
「ビャリュニラミャミャー!」
子供人形たちは目を輝かせながらバルニラに手を振った。
「おやまあ可愛い子供たちだ事! アタシも早く、抱いてみたいもんだよ!」
子供人形たちの愛らしさに、バルニラは感激した。
間もなく北の魔界へ戻って来る我が王女人形の顔を見るのが楽しみである。
その時はエルファを王女の座から外し…
子供人形たちと共に、永久に闇に葬る手筈になっているのだが…。