何気なく、ふと山に登りたく成った。
歩くのは、苦手な事なのに。
山といっても、中腹にスキー場が有る、小高い山だが、私は汗を垂らし、重い足を引きずりながら登って来た。
ふと、後ろを振り返ると素晴らしい景色が広がって居る。
「いゃぁ〜、別世界だなぁ〜」
下界には、青々とした水田、遠くには都会の塊が小さく映っていた。
その時、信じられない光景が映った。
巨大な津波が、都市を飲み込み、此方に向かっているではないか。
私は、考えを頭で、まとめる事も出来ずに、慌てて、山頂を目指した。
後ろを振り返る勇気も無く。
軈て、木が少なく成った山頂付近で、下界がどの様に成ったのか、遂に、決心して後ろを振り返る。
波に呑まれた人達は、どうなってしまったろうか、被害は、色々な憶測をしながら。
都市も、水田も無事な様だ、波に呑まれた感じが、まるで無いのだ。
さっき観た惨事は、何だったんだろうか。
私は、家路に着いた。
翌日、何処からとも解らない声を聞いた。
「折角、大災害を教えてやったのに、馬鹿な奴だな。」
その直後、轟音と共に巨大津波が襲った。
勿論、私も都市も総て跡形も無く。