この日の夕方…
マルセルはやっと、人形たちのホームパーティー用の料理を作り上げた。
気分の方は相変わらず、すぐれない。
まだ熱っぽいし、頭はフラフラ状態。
それでも何とか気合いを入れながら、腕によりをかけて準備をしたのだ。
今まで作った中で最高の出来栄えである。
きっと、エルファも喜ぶに違いないとマルセルは期待を膨らませた。
ところが…
ガシャーン!
キッチン内に皿が割れる音が響く。
各大皿や器に盛りつけられていた料理が次々と辺りにぶちまかれ、食器類が粉々に散乱する。
見た目や味をチェックしているエルファが怒って料理を辺りにぶちまけたのだ。
「やめてちょうだいエルファ!」
マルセルは必死になって制止するが、エルファはやめない。
エルファはマルセルを睨みつけて言った。
「コノ愚カ者ッ!! オ前ハ、気品溢レル私タチニ、動物ノ餌ヲ、食べサセル、ツモリナノッ!?
何ナノ、コノ、ツマラナイ料理ハッ!?」
ツマラナイ料理!?
流石のマルセルもカチンと来てしまった。
「何がツマラナイ料理なのよッ!? 新鮮で、最高の食材を集めて時間をかけて作ったのよッ!!」
「ソレデ、コノ程度ノ、料理ナノ? オ前ハ、馬鹿カ? コレダカラ、人間ハ…特ニ、オ前ハ、下等ナ、生キ物。呆レテ、物ガ、言エナイ」
「!」
目がクラクラするマルセル…
興奮して余計、気分が悪くなった。
見た目にも、マルセルは具合が悪そうだと認識出来るけど…
エルファには、そんな事には気にも止めていないようだ。
「コンナ料理ジャア、可愛イイ子供タチ、泣イテシマウ。最初カラ全テ、作リ直シナサイ」
エルファはそう言って、立ち去ろうとした。
マルセルは怒りを込めて言う。
「だったらエルファ!
アナタも手伝ってちょうだい! 私はとても気分が悪いし、今更最初からは作れないわ!」
エルファはピタッと足を止め、マルセルの傍へ歩み寄った。
「主ノ私ニ、指図スル気ナノ?」