「あのネェ」
バシーッ!
いきなり、マルセルの頬にビンタが飛んだ!
エルファは何度もビンタを浴びせる。
「ミャハハハハーッ!!」
懐に入っているルラが大笑いした。
ルラはマルセルを完全に見下しているのだ。
「無礼者ォッ!!!!」
強い口調でエルファはマルセルを一喝した。
「え、エルファ…!」
「私を、誰だと思ってる?」
冷たい表情でマルセルを睨むエルファ。
「…」
マルセルは人形の変化に気づいた。
喋り方が、ハッキリとした口調になっているのだ。
「マルセル・ハーレス…
お前は私を、誰だと思ってるのだ?」
「エルファ…」
「私はエルファではない。北の魔界を統治する大魔女王バルニラ・サタニアスの聖なる王女エルミナスだ」
「貴女は、エルミナス王女様!」
目を見開き、体を震わせるマルセル。
ずっと一緒だった人形のパートナーが…
あの4体の王女人形の1体だったとは!
「左様、私はエルミナス」
「では私の事を、ご存知なのですね?」
「勿論。お前は、バルニラ魔城でゲスな小間使いとして働いていた。
しかし、愛するソフィアの可愛い子供たちを殺してしまい…北の魔界を追い出された。
私たち聖なる王女人形の心を踏みにじり、ソフィアを自殺に追いやった許すまじき凶悪犯罪者…
それが、お前よ」
「お許し下さいませ。
私は既に、刑罰を受けております」
「だからと言って…
私は、お前を許すワケにはゆかない。一生、苦しめてやる」
「私を、どうする気なのですか?」
「私はフリーラムランドでの滞在を済ませて、可愛い子供たちと共に国へ帰る。この屋敷にある物は全て持って行くわ。
お前は私たちが出発する前に、使いの者たちにここで処刑されるであろう」