「お許し下さいませ、エルミナス王女様!」
「私と話しをする時は、ひざまずけと言ったであろうッ!?」
慌てて、その場にひざまずくマルセル。
「お許し下さいませ!」
「いや、許さぬ」
「お許し下さいませ!」
マルセルは両手を床に付け、頭を下げた。
パートナーに土下座するなんて、初めての事である。
「私に許しを乞なんて、マルセルも落ちぶれたものよのぅ? アーハハハハハッ!」
高笑いするエルファ。
「お許し下さいませ!
マルセルは何度も、謝罪の言葉を繰り返した。
その様子を他の子供人形たちがキッチンの出入口から見ていた。
ルラと同じように、マルセルを見下しているのではない。
最近のエルファ・ママの変貌ぶりに不安を抱いているのだ。
エルファは手に持っている物を背中に隠したまま、マルセルの傍に再び歩み寄った。
「良かろう、許してあげようぞ」とニヤリ。
「ありがとうございます」
「ただし!」
次の瞬間!
ギャーッ!
マルセルの苦痛な叫び声が屋敷中に響いた
子供人形たちが青ざめた表情で立ち尽くす。
マルセルの返り血を浴びたエルファは悪魔のような笑みを浮かべながらマルセルを見下ろした。
目の前には血だらけのマルセルがうずくまっている。
目を剥き…
体を震わせていた。
エルファの両手には大きな肉塊切り包丁と、切断したマルセルの片腕が握られている。
「みゃぶぅ、みふわぁ」
ルラがアクビをしている。
眠たくなったのだ。
エルファは優しいママの表情に戻った。
「サァ、お部屋に戻りましょう」
ルラをあやしながら部屋に戻ろうとする。