チンゲンサイ。<31>

麻呂  2010-03-04投稿
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* * * * * *

帰宅時――


さっき、俺が乗って来たママチャリの2人乗りを考えたが、

俺もユウも、肉体的にボロボロゆえ、その考えは、すぐに却下された。



『ユウ。ママチャリは明日、俺が取りに来るから、今日はタクシーで帰ろうな。』



『うん。』



事務所を出てから、タクシー乗り場までたどり着くまでに、

また、さっきの若者5人が追いかけてくるのではないかと、ハラハラしたが、


その心配は無用だった。



『ユウ。家に帰ったら、母さんに傷の消毒をしてもらわないとな。』



『オヤジこそ、もろにパンチ食らっただろ?!大丈夫かよ?!』



俺達は、お互いの顔の傷の状態を確かめ合いながら、


腫れた目元と切れた口元で、その痛みに耐えながら、タクシーを待つ事にした。


『‥‥しかしなぁ‥‥‥。まさか絡まれていたのが、ユウだとは思わなかったよ。』



『‥‥オヤジ‥‥あのさ‥‥‥。』



『ん?!何だ?!ユウ?!』



『色々心配掛けてごめん。』



『おっ?!どうした?!

父さんの方こそ、今度の事で、ユウとリョウに、色々心配掛けたと思う。

すまなかったな。』


正直、驚いた。



ユウが、こんなに素直に、自分の感情を表現してくれたのは、


かなり久しぶりの事だったからだ。



『俺‥‥今、学校でイジメにあっててさ。

言うのもカッコ悪いし、母さんに知れたら絶対騒ぐし、

うぜーって思って黙ってた。』



ユウの口からどんどん飛び出す、予想もしていなかった言葉の数々に、


俺は、黙って耳を傾ける事にした。



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