すると…
「待ちなさい、エルミナス王女」
「?」
背後からの呼ぶ声にエルファは立ち止まった。
振り返ったエルファは信じられない光景に、思わず目を見開いた。
右片腕を失ったマルセルがゆっくりと立ち上がる。
全身を金色の光に包まれたマルセル…
鋭い眼差しでエルファを睨む。
「エルミナス王女、私をとうとう怒らせたわね?」
「ま…、マルセル…」
今度は…
エルファが震え始めた。
夜…
グロリアが家にやって来た。
「姉さんッ!?」
キッチンに入って来たグロリアは声を上げた。
流し台の傍でマルセルがグッタリと仰向けになっていたからだ。
頭から顔中血だらけで、片腕がない。
マルセルの回りを19体の子供人形たちが取り囲んで、不安そうに見ている。
辺りは食材や割れた食器の破片が散乱して、足の踏み場もない酷い状況だ。
幸い、マルセルの意識や呼吸はある。
「うぁぁぁーッ! 助けてーッ、誰か止めてェーッ!」
「ウィアーンッ!! ウィアーンッ!!」
何と言う事だろう?
廊下でエルファとルラが素っ裸のまま、馬鹿踊りをしているではないか。
この後、黒装束の男たちがやって来た。
北の魔界警察の連中である。
エルファとルラの身柄を拘束すると、ドラゴンパトカーに乗せた。
2体は北の魔界へ連行されたのだ。
マルセルは救急飛行車で医療センターへ収容された。